北斗塾ブログ

一般社団法人神戸北斗塾の塾長のブログです

北斗塾FAQ 177:組織や製品に係る問題解決:ワークショップ:進め方

f:id:ichiro-kikushige:20190511104804j:plain

よくある質問177:組織や製品に係る問題解決のワークショップの進め方を教えてほしい。

解答177:組織や製品に係る問題解決のワークショップは、「現状の分析」、「問題の特定」、「計画の立案」の3つのステップで構成されています。以下に各ステップ毎の注意点を紹介します。
1.現状の分析
KJ法を使って分類し、重要なものをSWOT分析の表に記述する。

  • 重要な要因の見逃しを防ぐため、参加者毎に強み (Strengths)、弱み (Weaknesses)、機会 (Opportunities)、脅威 (Threats)をそれぞれ7つ以上絞り出すように指導してください。私の経験ですと、日頃考える習慣のない参加者の場合、弱みを7つ以上絞り出せても、機会を7つ以上絞り出せる人は少ない印象を持っています。
  • ポストイットに記述する要因は、体言止めはできるだけ避け、フルセンテンスで記述してください。具体例をあげると、「後発医薬品の使用促進」ではなく、「2020年までに後発品の使用割合を80%にする為に、院内処方は加算1が85%に、院外処方は一般名処方加算1が引き上げられた」と記述するように努力してください。 問題解決のコツのところで紹介した5W1H」と「多くの数字」を意識してフルセンテンスで記述してください。 フルセンテンスで書きやすいようにワークショップでは、正方形ではなく長方形のポストイットを使っています。
  • ある参加者が、強み、弱み、機会、脅威、それぞれ7つ要因を絞り出すことが出来たとすると、この7つの要因の中で、目標への影響が大きい順にポストイット左下に①から⑦の番号を振るよう指導してください。そうすれば、個々の参加者の重要度順位もわかり、ワークショップでは、重要度の高い順番にポストイットを紹介してもらっています。
  • ワークショップでは、SWOT(強み→弱み→機会→脅威)の順番で要因を検討するのではなく、OTSW(機会→脅威→強み→弱み)の順番で要因を検討していきます。まず、外的要因を十分検討した上で、内的要因を検討すれば、目標への影響の大きな要因の抜け漏れを防ぐことが出来ます。また、外的要因の30%以上は、機会とも見れますし、脅威とも見れます。ワークショップでは、便宜上、どちらかに纏めてポストイットのグループを作り、外的な要因の検討の最後に、機会に全てのポストイットを入れるのか、それとも脅威に全てのポストイットを入れるのか、それとも、機会と脅威に分けるのかをグループ全員で決める方がよいと思います。
  • イーゼルパッド(762×634mmの方眼紙)を見ながら、 OTSW(機会→脅威→強み→弱み)の順番で目標への影響が大きい要因を参加者全員で4つから6つ選定すれば、SWOT分析の完成です。

2.問題の特定
「Problem statement」を作成する。

  • 「Problem statement」の候補は、①本来強みであるはずの事が、強みとして認識されていない。②弱みが目立っており、改善されていない。③機会を活かすことが出来ていない。④脅威に対する対策が講じられていない、の4つタイプがあり、最も目標への影響の大きな問題を「Problem statement」として選定する。選定する「Problem statement」の数は、会社全体や部門であれば7つ、新発売の製品であれば5つ、部署や重点品目であれば3つ程度が相応しいと思います。
  • 特定した問題について、さらに情報を「5W1H」と「多くの数字」を意識してフルセンテンスで収集します。重要なことは、現状に関する情報だけでなく、あるべき姿に関する情報も収集することです。

3.計画の立案
「ゴールイメージ」を作成する。

  • 活動計画で一番最初に考えることは、あるべき姿をフルセンテンスで定義した「ゴールイメージ」です。「ゴールイメージ」は、Attractive(ワクワクする)かつ Achievable(達成可能)なもので、必ず、測定指標(あるべき姿に到達したかを判断する指標)を策定する必要があります。

「活動計画」を作成する。

  • 主語を1人称にし、SMART すなわち Specific(具体的に)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Relevant(最終目標と密接に関連している)、Time bound(期限つき)であるかを考慮してください。また、「クロスSWOT分析」も考慮してもよいと思います。

例として、2018年7月15日に開催された北斗塾1期生第3回ワークショップで、塾生が作成された4枚のスライドと1枚の写真を参考資料としてご紹介します。

  1. KJ法ポストイットをグループごとに纏めた写真
  2. 外的要因の記載例
  3. 北斗製薬のSWOT分析
  4. 北斗製薬のProblem statement・ゴールイメージ・活動計画
  5. 北斗塾1期生第3回ワークショップの写真

f:id:ichiro-kikushige:20190507105027j:plain

1.KJ法ポストイットをグループごとに纏めた写真

f:id:ichiro-kikushige:20190507101412j:plain

2.外的要因の記載例

f:id:ichiro-kikushige:20190507102050j:plain

3.北斗製薬のSWOT分析

  • 124枚のポストイットから、4つの業界の機会、4つの業界の脅威、6つの自社の強み、4つの自社の弱みを参加者全員で選定しました。

f:id:ichiro-kikushige:20190507102523j:plain

4.北斗製薬のProblem statement・ゴールイメージ・活動計画

f:id:ichiro-kikushige:20190507103233j:plain

5.北斗塾1期生第3回ワークショップの写真

  • SWOT分析」 と「KJ法」 を組み合わせは、本社の年間計画(Annual Operational Plan)や製品戦略(Product Strategy)を立てる時にも使えますし、支店の販売戦略を立てる時にも使えます。何よりもありがたいのは、関係者が一堂に会し、戦略を立てることで、チームビルディングが図られことです。あなたが、部門長や本社部署のリーダーに就任されたときは、就任後3か月以内に、あなたのリードのもと部下や関係者と「SWOT分析」 と「KJ法」 を組み合わせて戦略を立てることをお勧めします。

尚、北斗塾FAQに対するお問い合わせは、北斗塾の『ホームページ』のお問い合わせフォームで、ご連絡ください。