北斗塾ブログ

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北斗塾FAQ 111:ナインボックスを使った部下指導 前篇:問題特定:根本原因診断ツール

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よくある質問111:根本原因診断ツールについて、詳しく教えてほしい。

解答111:先週投稿したFAQ110で、根本原因とは、「問題(あるべき姿と現状とのギャップ)を理解しただけでは、解決策を立てることのできない、人の能力や考え方にかかわる障害」と定義でき、この障害を診断するツールとして「根本原因診断ツール」があることを紹介しました。

「根本原因診断ツール」は、表層、中層、深層の3つの層に分かれています。

  1. 期待される言動を上司が部下に理解させていない(表層)
  2. スキル・知識を持っていない(中層)
  3. やる気がない(成功体験がない・苦い経験がある) (深層)

ここで、「上司(営業所長)が、部下(MR)に大学病院で医局説明会をするように指示したが、MRは説明会を実施していない」 という問題について、「根本原因診断ツール」を使い、原因を推察していきましょう。

  1. まず、「期待される言動を上司が部下に理解させていない」について説明します。上司が1度に多くの指示を口頭で出したり、指示の重要性を十分に説明していなかったり、5W1Hが曖昧な指示をだすと、部下は、上司の支持を十分に理解できないので、説明会を実施していなかったケースも考えられます。このケースでは、「期待される言動を上司が部下に十分に理解させていない」という上司のコミュニケーションに原因と考えられるので、比較的速やかに問題の解決が図れる表層の原因と言えます。
  2. 次に、「スキル・知識を持っていない」について説明します。MRは上司の指示を十分に理解しているとしても、説明会のプレゼンテーションスキルや製品知識に自信のない場合や、大学で説明会を実施するプロセスがわかってないので、説明会を実施していなかったケースも考えられます。このケースでは、部下が、「スキル・知識を持っていない」ことが原因ですので、部下に自己学習を具体的に指示し、当日の大学での医局説明会に上司も同行するだけでなく、他のMRが担当する他の大学の医局説明会に参加することをMRに支持するなどを行なうことにより、MRが自信をもって説明会を行なえる事前準備が重要です。少し準備時間は必要ですが、解決が図れる中層の原因と言えます。
  3. 最後に、「やる気がない(成功体験がない・苦い経験がある)」について説明します。MRは上司の指示を十分に理解しているし、大学で説明会を行なうスキル・知識も持っているが、説明会を実施していないケースについて考えていきましょう。過去に大学で医局説明会を実施したが、苦労のわりに販売実績が全く上がらなかった経験を持っている(成功体験がない)、あるいは、過去に説明会で医局長に準備が悪いと酷く怒られた経験がある(苦い経験がある)などの理由も考えられます。特に、苦い経験をMRは話したがらないので、同行時などにじっくりMRを観察し、原因を特定する必要ですので、なかなか解決が難しい深層の原因と言えます。

逆に、 MRが、説明会を行なえば販売実績が上がるという成功体験を持てば、上司が指示しなくても、大学の他の医局や今までやったことのない施設でも、説明会を実施するようになります。「部下に成功体験を持ってもらうこと、あるいは、部下に苦い経験を持たせないことが、上司の一番大切な仕事」であると私は信じています。

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